デリス
【別名:ドクヅル、トバ】
Derris elliptica (Roxb.) Benth.

(マメ科)

(2008年6月:父島・巽道路) 新葉(5月)

 デリスは、カンボジア〜東インド、マレーシア原産の大型のつる性木本です。
小笠原へは、殺虫剤の原料をデリスの根から採るため大正6年に導入したそうですが、今はデリスで殺虫剤を作る人もいなくなりました。変わりに、デリスの蔓を編んで籠やリースなどをつくる材料として島民に親しまれています。
別名をドクヅル、トバと言います。

 小笠原の父島では、扇浦や長谷から主に南部にかけて多く分布しています。
デリスは、道路ではのり面を覆ったり、林内では低木から高木の木に巻きつきながら林冠にでて一帯を覆うまでに成長します。デリスの群落が残っている地は、戦前に小笠原の農業が盛んだったことをうかがわせます。

 巽道路を入るとすぐ左側に、コンクリートののり面にびっしりと這うデリスがあります。
5月を迎えるころ、デリスは桃色〜茶褐色の新しい葉を何枚も伸ばしはじめます。
それはまるで花が咲いているかのようで、遠くからでもデリスの所在が目立ちます。
梅雨どきの5月〜6月初旬ごろが最もデリスが美しく輝く時期です。

 葉は4〜6対の奇数羽状複葉。
小葉は長楕円形〜へら形をして、褐色の毛があります。

花期は、5月下旬〜6月ごろ。
30cm程の円錐花序を数本伸ばし、濃桃色の花を咲かせます。
花の色は変化し、開ききる頃には白っぽい薄い色になります。

 ところで、デリスはひとつの花序にいくつの花が咲くのでしょうか、、、。
大きい房になると、軽く100個以上はありそうです。
すると、1株には一体どのくらいの花の数になるのでしょうか、、、。
こんなにたくさん花が咲くのに、今まで豆果を見ることができていません。
果期は秋ごろのようです。
訪花にくるセイヨウミツバチ

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