ハゼノキ
Rhus succedanea L.

(ウルシ科)

 ハゼノキは、日本の暖地に分布する落葉樹です。

小笠原諸島では父島と母島に分布し、戦前、ロウソクの原料を採るために導入したものと思われる。
現在では利用されず、分布・個体数ともに増えています。

樹高は3〜5m。樹皮は、白っぽい淡褐色。
頂芽はドングリを逆さにしたような姿で先端がとがります。
緑色で、褐色の毛があります。


ハゼノキはウルシ科の植物です。
白い汁にさわるとかぶれるといいます。
(2004年:父島・巽道路)      ハゼノキの頂芽(6月)

 ハゼノキの葉は、5〜6対の奇数羽状複葉です。
滑らかな質感で、全縁(ぎざぎざがありません)。無毛。
春には新しい葉を枝の先端付近に集中して出します。

 ハゼノキの葉と間違いやすいものとしては、広分布種のムクロジや固有種のアコウザンショウがあります。
ムクロジの葉は偶数羽状複葉で縁はゆるやかに波打ち、ゴワゴワするような少し硬い質感をしています。
アコウザンショウの葉は、まずシナモンのような甘い香りがします。奇数羽状複葉で小葉の幅が狭く、ハゼノキと比べると少し硬い葉の質感をしています。
雄花(2004年5月)
 花期は5月ごろ。雌雄異株。
円錐花序を放射状に数本出します。

雄花の方が花は大きく、長い雄しべが目立ちます。
雌花の大きさは小さく、雄しべが短い。
雌雄異株の場合、雌花の雌しべや柱頭や子房は形がはっきりしている事が多いのですが、ハゼノキの雌花は雌しべも小さいです。気にかけておかないと通り過ぎてしまいそうな花です。
雌花(雌株の花) 雄花(雄株の花)
果期は翌年2〜3月頃。
亜熱帯の小笠原ですが、2月ごろには最低気温15度をきり、かなり冷え込んできます。
この頃になるとハゼノキは紅葉が美しく、長谷付近の山々は赤色に染まります。
紅葉する葉と果実(2004年2月) 果実(2003年12月)
 父島のハゼノキは、長谷から中央山までに多く分布し、長崎岬付近にも数個体生育しています。
強い繁殖力があり、父島の中央部の在来植生に入り込んでいます。
学術参考林である東平でさえも、沢沿いや歩道沿いに在来植物のように生育し、
調査で林内を歩くと実生を見ることも多くあります。
注意の必要な外来植物です。

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