ハゼラン
Talinum triangulare (Jacq.) Willd.

(スベリヒユ科)

(2008年7月:父島)
 側溝の中に、今まで見たことがない植物がかわいい小花を咲かせているのに気がつきました。
先日、N先生にハゼランだと教えてもらいました。

 ハゼランは、熱帯アメリカ原産の多年草です。
本州や琉球などで栽培から逸出し帰化しているそうです。
父島ではまだ少ない草本ですが、母島には以前からあるようです。
父島では、花壇からのこぼれ種で辺りに増えてはいますが、別の敷地への逸出や野生化はしていません。

ハゼランは、土質は選びませんが湿った場所を好んでいるようです。
高さ20〜40cm程。
全株無毛で、多肉質です。
葉は倒卵形で、長さ3〜6cm程。葉先は、丸かったり尖ったりいろいろあります。
発芽から花が咲くまで短期間で、花と果実の時期は通年あります。
3時頃から咲き始めるので別名サンジソウといいます。ハゼランには他にもいろんな名前がつけられています。

 私が植物を見るとき、側溝の中に何が育っているかよく見てしまいます。
今まで見たのは、オシロイバナ、ポーチュラカ、マルバツユクサ、キンチョウなどのハカラメの仲間が数種類、ハゼランなどです。
こうした植物は、側溝に生えたからといってすぐに小笠原で爆発的に繁殖するとは訳ではありません。
乾燥気味の父島では、側溝と同じような水気の多い環境の方が少ないからです。
しかし、側溝は他の場所へと逸出する足がかりになる可能性を秘めています。
中でもキンチョウなどのハカラメの仲間は乾燥にも強く繁殖力も旺盛で、野生化しやすい条件を持っているので注意が必要です。

側溝の中は、もっとも身近な植物観察地のひとつです。
みなさんの近くの側溝には何か生えているでしょうか。足元の植物にも目を向けてみませんか?
花と果実 側溝の中でも育つハゼランとキンチョウ

外来種草本類(1)にかえる