No.49 ハイシバ
Lepturus repens (G.Forst.) R.Br.
(イネ科・ハイシバ属)絶滅危惧種II類
(2007年:父島) |
ある時、海岸でふと目の前に見慣れない花序を出しているイネ科が目に入りました。 赤紫色の硬い走出枝を伸ばしています。節の部分で新しく斜上した稈(かん:イネ科の茎)と根を出し、早々と花序を出し花を咲かせているものも多い。 高さ10〜20cm程。林縁の砂地に生育し、約3uに群生していました。 ハイシバという名前はシバの仲間であるかのような名前ですが、シバ属(Zoysia)とは関係がありません。棒状の穂状花序がシバの花序を連想したのでしょうか、、、。 葉の形は披針形で、若い葉は幅が広くみえます。草質。無毛。 小さなササの葉のような雰囲気です。 花は、小穂が棒状のうちから雄しべと雌しべを出しはじめ、次第に小穂が熟してくると開出していくようです。花序は、長さ7〜10cm。幅1.5cm。 熟す頃になると花序は蒲色になり、小穂は大きく開出します。花序はもろい。 |
花 | 雌しべと雄しべ |
結実期の花序 |
母島からはヒロハノハイシバ(Lepturus repens var. latifolius )が記載されていますが、近年ではハイシバの変異内とする見解が支持されているようです。 葉の印象と図鑑を見比べると、確かに若干印象が違うような感じもします。 生育環境の違いかもしれません。沖縄のハイシバは日当たりのいい岩場や砂地に生育し、葉と稈が直立するのに対して、父島のものは林縁に生育し葉と稈は斜上しています。 小さな草本類のイネ科ですから、雑草かと思われてしまうかもしれません。工事など開発の被害にあいやすい植物だろうと思います。 ハイシバは、沖縄と小笠原諸島にのみ生育している植物です。日本の絶滅危惧種II類(VU)に指定されています。 |