はてなの植物ファイル7

マメ科不明種(カワリバマキエハギ?)

(2008年8月19日:父島・大神山神社)

 「芝生に変わった草本があります。」とNさんから連絡を受け、見に行きました。
芝生を植えた神社の敷地の一角、約1uの中に、成長した株から小さなものまで計6株程度ありました。

この不明の植物は、やや斜上〜地面を這うようにして赤褐色の枝が広がります。直径50cm程。
枝や葉の裏側や花のがくには開出した軟毛が密集しています。

托葉は葉柄の基部に2対あり、披針形。先端は長くとがる。
葉は3小葉。小葉の長さ約1〜2cm。
小葉は楕円形〜倒卵形で、先端は凹むことがあります。
小さいうちや若い茎には、単葉になることがあります。
表面の主脈上は黄緑色で、縁にいくにしたがって濃緑色に変わります。
表面に毛はなく、裏側には毛があります。
 葉 枝と托葉
花のアップ
若い豆果 熟した豆果

がく歯は、がく筒より長いか同長。開出した毛をもつ。
葉腋から花序のつく枝を伸ばし、総状についた数個の花をまばらに咲かせます。
花柄は1.5cmとかなり長い。
花柄の先端につく花の長さは7mm程です。花の色は、白〜淡紫色。
豆果の長さは1〜1.8cm。節がある。2〜4個の種子が実ります。

花序と葉は対生しているように見える 種子(約2mm)

(追記:2008年8月24日)
 私のような素人は、日々あれかなこれかな???と迷いの迷路に入ってしまいます。(笑)

 そんな中、Nさんから帰化植物MLの方々から連絡があったとメールがありました。
勝山先生、MLの皆さま、ご教授ありがとうごじました。
ハイマキエハギ(Desmodium triflorum (L.) DC.)かカワリバマキエハギ(Desmodium heterophyllum (Willd.) DC.)のようです。
小笠原の植物リストを再度見ると、ハイマキエハギは硫黄島に、カワリバマキエハギは父島での記録があります。
「この仲間は、多型で種内変異がいろいろあるようです。」と教えていただき、自分でもインターネットで調べてみると両種の中間的なものもあるようです。

 両種の違いとしては、「カワリバマキエハギの特徴の1つは花序と葉が対生して着くように見える。」と植村様に教えていただきました。観察した不明種には、同じ特徴があります。(写真左上)

 種子による比較ができないか調べることにしました。
私の手持ちの図鑑では同定に限度があるので、インターネットで種子の画像を検索してみました。
ハイマキエハギの種子には模様がなく、カワリバマキエハギの種子には模様があることが分かりました。
観察した不明種にも模様があります。(写真右上)
以上のことを踏まえると、どちらかというとカワリバマキエハギの特徴に酷似するようです。どうでしょうか。。。
素人の同定ではここまでが限界です。
さらに詳しい同定は、Nさんにお任せしたいと思います。

関係者の皆さまに御礼申し上げます。

【参考文献】
根本 智行・大橋 広好1985:カワリバマキエハギの分枝様式,植物研究雑誌 (.60)9 :280-284.

【参考ホームページ】
(1)カワリバマキエハギについて全体像と説明 
(2)カワリバマキエハギについて全体像と種子画像

(1)ハイマキエハギについて全体像と説明 
(2)ハイマキエハギについて種子画像 

はてなの植物