NO.2 ヒノキバヤドリギ
Korthalsella japonica (Thunb.) Engl.

(ヤドリギ科・ヒノキバヤドリギ属)

シマモクセイに寄生するヒノキバヤドリギ(父島・傘山付近)

 ヒノキバヤドリギは、他の樹木の枝に寄生する木本の寄生植物です。山を歩くとよく出会います。
高さは10〜20数センチ。棒状の茎は扁平〜やや丸い。茎には関節があり、葉は鱗片状で節に対生に付く。
宿主からは全ての栄養素を貰っているわけではなく、茎や葉は葉緑体があって自ら光合成が出来るので半寄生植物と言えます。
花は1mmに満たない黄色の小花で3裂しています。実は黄緑色〜やや黄色味を帯びています。
実の中には1個の種子が入っていて、熟すと果皮を破って飛び出し粘着物で周りの枝に付着して後、吸収器を宿主の皮膚にとおして寄生しています。

 小笠原でヒノキバヤドリギが寄生している樹木は、ヒメツバキ(ツバキ科)、シマモクセイ・ムニンネズミモチ(モクセイ科)のこの3種が多く、他にハツバキ(トウダイグサ科)、チチジマクロキ(ハイノキ科)、コヤブニッケイ(クスノキ科)、モクタチバナ(ヤブコウジ科)、ムニンヒサカキ(ツバキ科)、ムニンビャクダン(ビャクダン科)などにも寄生しています。


 茎の様子がヒノキの葉の形態と似るので「檜葉寄生木」と書きます。
花(2004年12月)      花と実(2004年12月)
 
 対象物が小さいだけにこの植物は私にとっては難解で、尽きることない疑問と楽しい興味を与えてくれる植物です。

 たとえば、枝に寄生するヒノキバヤドリギの接合部はやや膨らんではいますがとても自然で、何も知らなかったら一見宿主の植物の葉だと思ってしまうでしょう。とくに1つの木に群生して生える姿は圧巻です。

寄生されている木は大丈夫なのか、、、という疑問がありました。
勝山先生に聞くと、寄生された木は養分をとられ弱ってしまうそうです。そういえば、ヒノキバヤドリギがぎっしり付いた木は葉を落としてしまいます。

葉については、節の周りに付く実や花より小さい突起が「葉」のようです。
小さいうちはみんな一緒に見えます。
節からほとんど何も出ない個体 ヒノキバヤドリギの群生

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