NO.2 ホシダ
   Thelypteris acuminata (Houtt.)Morton

ヒメシダ科・ヒメシダ属

(2006年2月:父島・字西海岸)
 父島には最近、野外で外来種のシダが見つかっています。
ホシダが字二子と清瀬で見つかり、相次いでカニクサという外来種のシダが夜明道路(東平付近)と二子で見つかっていました(小笠原野生生物研究会ニュースレター vol24、vol25〈2004年〜2005年〉)。
どちらも今まで記録がなく新帰化種として捉えていましたが、カニクサについて延島さんから「母島では、現在では使用しないような戦跡の多い土地で見た事があるので、新帰化種ではなくもっと古くから帰化していたのでしょう。」と教えていただきました。

今回私が見たのは西海岸へ行く途中のガジュマル付近で、この辺りは戦前利用した私有地です。
どれも小さい個体でソーラス(胞子嚢群:胞子嚢の集まり)はありませんでしたが、雑草のように一面に群生していました。この状態だと、ホシダも戦前か戦時中には小笠原にすでに帰化していたようです。
 葉柄と葉(全縁、頂端は鋭頭に尖る)
 草丈20〜30cm。2回羽状中裂。
先端は尾のように長い。葉には毛がなく、緑色。葉柄には短毛がある。
紙質で、カサカサとした質感です。
ケホシダは草質で、全体は密に毛が多いためフワフワして柔らかい。
羽片の頂端は鈍頭で丸みがあるなどの違いがあります。
 さらにこの辺りは、コクランが最初に見つかった場所でもあります。コクランは広分布種とリストには載っていますが、父島の人為的なところに主に分布し、外来種ではないだろうかと私個人は疑問に思っています。さらに、分布の広がりが早い事も気になります。コクランを除く小笠原に自生するランは、全て固有種です。

このように、広分布種が新たに小笠原入った場合、広分布種か外来種か判断するには過去に移入の記述でもない限り100%どちらかを判断するのは困難です。発見した場所が、人為的な場所か固有性の高い場所かなど付近の植生で判断するしかありません。しかし、こういう場合もあります。
以前、「母島の乳房山で、カトレアが木に(人為的に)着生させてあった。」と聞いて愕然としました。カトレアも種子繁殖の良いランだそうです。風で運ばれる小さい種や胞子のランやシダ植物を野外に植えるのは、アノールトカゲを野外に放したのと同じくらいとても危険な行為なのです。

外来種:シダ類の表紙にかえる