NO.23 ホソバクリハラン
Lepisorus boninensis (H.Christ) Ching

固有種:ウラボシ科・ノキシノブ属

 ホソバクリハランは小笠原諸島に広く分布しています。父島の山では、やや湿った岩肌や樹幹に着生している姿にたびたび出会える植物です。

根茎はやや短く這い、葉は密に出します。
葉の長さは10cm−40cm。年齢に関係なく生育地の環境によって変化します。
湿潤で強い風の当たらない林内では葉はとても長く垂れさがり、環境の厳しいところでは葉の長さは短くなります。

葉柄は細く、長さは葉身の4分の1から3分の1。
(2004年3月:父島・中海岸)
 葉に付く丸い点は、胞子嚢群(ソーラス:多数の胞子嚢の集まりで1単位の構造を作るので、胞子嚢群と呼ばれる。胞子嚢の中では、胞子母細胞が無数の胞子をつくる。)で、葉身の上部にややくぼんでつき、円形、中助(葉の中心となる主側脈)の両脇に一列ずつ並ぶ。

ソーラスが幾何学模様のように均一に並ぶ姿は、シダ植物特有の美しさがあります。

(2004年5月)
 見分けの難しいものとしては、風衝地の岩について葉が短くソーラスが付いていないものは、時々ムニンサジランと迷うものがあります。
見比べると、ムニンサジランはホソバクリハランより葉柄が極端に短いように思います。
また、違いの分り易い大きく成長した葉では、葉脈を見ると分りやすいです。
ホソバクリハラン(右が根元の方向) ムニンサジラン(右が根元の方向)
葉はしっかりとした洋紙質、脈は両面とも細部までよく見えます。 葉は革質、中助は突出して裏面にもやや突出している。細かい脈は見えない。葉は匙の形をしています。


 左の写真のように、大きな樹にコケなどと混じって着生している姿は素晴らしいです。

 和名の「細葉栗葉蘭」の栗葉蘭は、主側脈のはっきりした葉をクリの葉になぞったことに因んでいます。日本のノキシノブ属のなかで栗葉蘭と名づけられているのは、このホソバクリハランだけです。

 日本のノキシノブ属の中では最も葉が長く、近縁となる植物は見当たらない小笠原固有のシダです。
(2004年3月:父島・中海岸)

固有:シダ類の表紙にかえる