NO.9 イワホウライシダ
  Adiantum ogasawarense Tagawa

 (固有種:ホウライシダ科・ホウライシダ属 )

兄島の滝之浦の奥にある沢に行くと、岩の隙間でひっそりと生えていました。

少しづつゆっくりと流れる沢の下流で、私がイワホウライシダの写真を撮るのに夢中になっていると、目の前に見慣れないトンボがとまりました。
後で調べると、どうやらハナダカトンボのメスのようです。
気がつけば、他にもトンボが飛んでいました。

岩の隙間のあちらこちらから自生するイワホウライシダと、その周りに棲む生物の織り成す光景はまるで楽園のようで、心の安らぐものでした。

兄島は、昔からあまり開発されなかった無人島で、今でも素晴らしい自然が多く残されています。
(2004年5月:兄島・滝之浦)

イワホウライシダは、小笠原固有種です。絶滅危惧種に指定され野生での絶滅の危険性の高いものとされています。

葉は薄くて、ひらひらとした感じが清楚でとても綺麗なシダです。
薄い葉が木漏れ日に透けると、今まで気がつかなかった美しい葉脈が浮かび上がりました。

葉柄は長さ10cm、黒色、無毛、基部に鱗片があり、葉身は
卵形から三角状卵型、鈍頭、長さ7-8cm、幅4-6cmで二回羽状に分岐します。

小葉は多少重なりあって密につき、草質から、やや薄い草質。2-5個の切れ込みがあり、裂片の外側は微鋸歯縁になっています。

(2004年5月:兄島・滝之浦)
       ソーラスをルーペでのぞいてみました。

胞子嚢群(ソーラス)は、小羽片に1〜10個つき、辺縁は反転してついています。

固有:シダ類の表紙にかえる