NO.31 シマクマタケラン
Alpinia boninsimensis Makino

固有亜種:ショウガ科・ハナミョウガ属)

(6月:父島)
 シマクマタケランは、父島と母島の林内に生える多年草です。
父島では、中央部から衝立山にかけての水分条件の良いところに散発的に生え、沢沿いでは群生します。母島に多い。

島名ヤマソウカ。”ソウカ”とは、ゲットウ(Alpinia zerumbet )のこと。八丈島の方言で、小笠原諸島の他に南大東島でも使われているそうです。

草丈1〜1.5m程。
葉は長披針形で先端がとがり、全縁。無毛で、表面には艶があり葉脈が見えます。


 小笠原の山で見られるショウガ科は、シマクマタケランの他に外来種のチクリンカとゲットウとシュクシャの3種があります。
 花の時期は一目瞭然に違いが分ります。では、葉の違いは何処にあるでしょう。
葉の見分け方は、チクリンカとゲットウは葉先が丸い事で、シュクシャは葉柄がない、葉の裏に毛がある事などの違いがあります。

 シマクマタケランの偽茎と葉の基部(柄がある)         シュクシャの偽茎と葉の基部(柄がない)
 花期は6月頃。
2週間程で咲き終わってしまいます。

 花は15〜25cmの総状花序で、花軸から分かれた各枝には、1〜4個の花を咲かせます。

ユリ科と同じく外側の花弁は萼(がく)で、外花被といい3裂しています。内側の花弁は内花被といい、これも3裂しています。内花被は、いづれも紅色のすじが走るので分ります。単子葉植物の一部は、このような外花被(がく)と内花被(花弁)で1つの花を作っています。
花筒から上に飛び出ているのは雄しべです。葯は長楕円形で下向きに2列する。雌しべは雄しべの葯の部屋を通り、成熟する頃には雄しべの先に柱頭が突き出ます。

雄しべの形は、ちょうど訪花する昆虫が出入りする時に背中に葯がつくようになっています。シマクマタケランには、大型のオガサワラクマバチが訪花します。

 果期は12月。
球形の果実を数個実らせ、朱色に熟します。


 現在、シマクマタケランの分類は、東南アジアのショウガ科の分類を研究している船越博士によると、形態の集団解析の結果、八丈島・紀伊半島・沖縄本島に分布するアオノクマタケラン(Alpinia intermedia )に連続し、アオノクマタケランの亜種とされています。
(12月:父島)
【参考資料】
・熱帯動植物友の会会報 第112号(2002年1月)
 ジンジャークエスト 熱帯アジアにショウガを求めて 3.小笠原編 (船越英伸)

固有種:草本類の表紙にかえる