NO.87 クラリンドウ
  
Clerodendron wallichii Merrill

(クマツヅラ科・クサギ属)

 クラリンドウは、アッサム地方やヒマラヤ原産で耐寒性があるそうです。小笠原の気候では少し暑いのかもしれません。高さは大きいもので1.7m程、細い幹をすっと伸ばしています。小笠原にある外来種、真紅の花のヒギリと同じクマツヅラ科クサギ属。

 クラリンドウは、父島では東平の私有地跡にあります。東平サンクチュアリー内にありますが、道は分りにくいかもしれません。

 クラリンドウの成長速度はゆっくりで、今のところ周りの環境にさして影響を及ぼさないように漠然と考えていました。
今回、図鑑を作るにあたって間違いのないように木の大きさや個体数を数えてみました。
すると、思ったより数も多く実生も見られました。
1.5m以上が4株。1〜1.5mが20株。50cm〜1mが18株。50cm以下が10株。計50株が約8〜10m四方にあります。もっと慎重に探せば実生の数はもっと増えるかもしれません。
(2004年11月:父島・東平)
 幹は、植物に知識にあるガイドの人たちが折っているそうですが、脇からまた枝を伸ばしています。
一見弱そうにも見えるクラリンドウですが、更新すること、たやすく枯れないことを考えると、この先衰退することなく徐々に増えていくでしょう。
よりによってクラリンドウの自生地は固有種の宝庫といわれ学術的にも素晴らしい東平です。この東平の一部である二次林から固有種の森への遷移(せんい:自然の自発的な力によって群落の構成種が変化していくこと)が速やかに行われるためには、こうした外来種を駆除するべきなのでしょう。

 木は幹の上のほうで数回枝分かれをし、先端にひとつの総状花序をつけ、3.5〜4cmの白い綺麗な花を咲かせます。

雄しべ雌しべともにとても長いですね。蜂で受粉できそうな姿ではありません。
昼間も訪花に訪れる昆虫を見たことはないのですが、ちゃんと一本の樹に数個の実をつけます。夜行性の蛾が来るのでしょうか。

(2004年11月:父島・東平)
未熟な実(2002年2月)
 実の時期は、袋状の萼が反り返り赤く染まります。まるで花のようです。
葉は長さ20〜24cm。コーヒーの木の葉に似ていて、対生、浅い鋸歯から全縁で葉脈がはっきりしています。

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