NO.29 ムニンイヌノハナヒゲ
    Rhyncospora chinensis Nees et Meyen var.curvoaristata (Tuyama) Ohwi

固有種:カヤツリグサ科・ミカヅキグサ属


 東平を石浦方面に向かって山道を進みしばらくして陽光地にでると、細い山道に沿って繊細な細い葉のカヤツリグサ科の植物が生えています。これがムニンイヌノハナヒゲです。

こうしたカヤツリグサ科やイネ科の草本は、花や果実のなる時期に見に行くと比較的分りやすいと思います。葉だけで見分けるのは、かなり難解です。

多年草。高さは約40-70cm程。稈は平滑、葉は束生し、幅は2-3mmの線形。
花期は3−4月、散房花序(下部の花柄が長く花序の上面は滑らか)は、3−5個で直立。1から2段になって付くことが多いです。淡赤褐色。果期は7−8月。

(2004年5月:父島・東平)
ムニンイヌノハナヒゲが多く生育する東平の生育地は、他にもシマカモノハシやムニンアンペライやシマイガクサなどのイネ科やカヤツリグサ科が混在していて、この付近が湿性した環境であることを物語っています。

 今尚、イヌノハナヒゲの分類については定説がなく、小笠原固有種かどうかははっきりしていません。
ここでは、「小笠原図譜 (増補改訂版)」での、「固有の変種として扱う大井次三郎博士の説に従う。」との意見に私も従うことにしました。

 東平の山道は、季節によってはかなりぬかるむので、山道の脇を歩きたくなるかもしれません。でも、その脇には、こうした固有の貴重な植物があることも心の片隅に置いて、なるべく中心を歩きたいものですね。

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