NO.13 オガサワラアザミ
Cirsium boninense Koidz.
(固有種:キク科・アザミ属)
オガサワラアザミは、海岸近くに生えるアザミの仲間です。草丈1〜1.5mになる多年草。 南島の丘の斜面に多く見られます。 花期は5〜6月頃。 春から花茎を伸ばし、頭状花序(多数の花が集まってひとつの様な花を作り上げている。キク科に多い。)に白色の小花を咲かせます。 小花は、近くで見るとまるでブラシのように見えます。これはオガサワラアザミの雌しべで、雄しべは雌しべの下部に筒状にあります。 花弁は目立ちませんが小さな花ひとつずつに筒状にあり、これを筒状花といいます。キク科にはこの筒状花と舌状花(花びらが一枚の小花。例:タンポポの淵に咲く小花)があり、下にはがくがあります。 |
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(2002年5月:父島) |
(2005年6月:花のアップ) | (6月:果実) |
蕾の時に包んでいるものは、一見がくの様にも見えますが総苞(そうほう・花序を包む苞)で、がくではありません。アザミの仲間は、この総苞とよばれる部分が大きいですね。 総苞の小さな個々の片を、総苞片といいます。 果期は6〜7月頃。 綿毛は直径3〜4cmの大きな冠毛です。 種子は2mm程と小さく、やや褐色を帯びた白色で冠毛と同じ色をする。 オガサワラアザミのロゼットは、直径50〜80cm程で大変大きな株になります。 全体は白い毛に覆われています。葉は刺があり、触れるとチクッとします。ゴワゴワとした感触です。 |
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オガサワラアザミの花を見る度に、私は絶滅した固有種のトヨシマアザミの事を思う。戦前には生育し、葉に刺の少ない種で、淡紫色の花だったという。 生きるか死ぬかの激動の時代、植物の保護など到底出来ない時代があったのだと先人の方々のご苦労を山の戦跡を見るにつれ想像している。それでも尚、せめて現代に1株でも残っていれば、、、絶滅は免れたかもしれないと残念に思えてならない。 |