NO.26 ハツバキ
Drypetes integerrima (Koidz.) Hosok.
(固有種:トウダイグサ科・ツゲモドキ属)
(2005年5月:父島・中央山) |
ハツバキは小笠原諸島に広く分布し、山頂や尾根沿いに多く見られます。個体数は多い。 高さ2〜5mの常緑樹。 樹皮は灰褐色で、地衣類・コケ類・シダ植物・着生ラン類・シマゴショウなどの着生植物がつく。特に雲霧のかかるような場所では、小笠原の熱帯的な光景を作っています。ハツバキは、こうした着生植物を観察するのも面白い植物です。 近縁種は、屋久島、奄美諸島、琉球、台湾などに分布するツゲモドキ(D. karapinensis Pax et Hoffm.)といわれています。 |
葉は互生し、楕円形で全縁。 大きさは5〜12cm位。 葉脈は、主脈以外はやや不明瞭です。 林内のものは葉が薄く大きくなります。 葉には、虫食いの痕が頻繁に見られますが、なかなかその姿は見られません。 |
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花期は5月〜6月上旬頃。 雌雄異株で数ミリの小花を咲かせます。 ハツバキにはがくや花弁がなく、一見花弁に見えるものは苞(ほう、<苞葉・ほうよう>とも呼ばれる花の基部にある葉)で、花弁状に4枚あります。 雌花は 葉腋から出た花柄に1〜4個の少数の小花を咲かせます。大きな子房があり柱頭は2個。 雄花は 葉腋から出た花柄に1〜10個ほど、雌花より多数の小花を咲かせます。 子房や雌しべはなく雄しべのみ。 晴れた日には、セイヨウミツバチが訪花します。 果期は12月〜4月頃。 楕円形で毛があり、どことなく梅の実に似ています。ハツバキの実は黄〜褐色を帯びて熟し、食べられそうにも見えますが、実は固いです。 稀に、熟した後も花の咲く時期まで落下しない実があります。 |
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(6月:雌花) |
(6月:雄花) | (12月:父島・夜明道路沿い) |