NO.36 ヒメマサキ
Euonymus boninensis Koidz.
(固有種:ニシキギ科・ニシキギ属)
ヒメマサキは、聟島、父島、母島、姉島、妹島に分布する小笠原固有の常緑低木です。 集落地付近の低地から山の中腹にかけての明るい林縁や山頂部に生育しています。ギンネム林の中でも見る植物です。 写真は、奥村から夜明道路を入ってすぐの直線、右側にあるヒメマサキです(写真中央にある黄緑色の葉の木)。手前の小さなタコノキが目印です。 樹高は2〜4m。 樹皮は褐色、若い枝は緑色をしています。 明るい緑色の小さな葉が全体を覆うヒメマサキは、繊細な趣のある植物です。 |
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(2008年6月:父島、夜明道路・奥村入口) | |
葉は、倒卵形〜楕円形。長さ2.5〜5cm。 小さな鋸歯があります。無毛で鈍い光沢があります。 葉脈は主脈が明瞭で、側脈の先端は不明瞭です。 葉質はやや薄く、葉柄は短いなど特徴のある葉をしています。 3月ごろ、黄緑色の綺麗な新葉を対生に出します。 同時に、葉腋に花序を伸ばしはじめ、6月になると淡黄緑色の4弁の小花を咲かせます。 ヒメマサキの花にはセイヨウミツバチやハエの仲間が集まるので、ヒメマサキの木はにぎやかになります。 |
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葉 | |
花(2008年6月) | |
果期は、翌年の1月ごろ。 果実は次第に亀裂が入り、朱色の仮種皮(※1)に包まれた4個の種子をはじき出します。 楕円形の種子は、光沢があります。 トベラの仲間のような粘着性はありません。 ヒメマサキの果実は、種子を半分以上飛び出す姿がユニークです。 これは、鳥に食べてもらう為のアピールです。 メジロが訪れていました。 ヒメマサキは、本州から琉球に分布するマサキに類縁があるといわれています。 |
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果実(2009年1月) | |
※1・・・仮種皮(かしゅひ):種子を覆う付属物(例:イチイ、ザクロなど) |