NO.11 フサシダ
Schizaea digitata (L.) Sw.

(フサシダ科・フサシダ属)

 父島の森の林下でこの奇妙な姿のシダに初めて出会ったときは、その直立したり湾曲したりしている変わり者に「これが本当にシダなの?」と目を疑い、感動した覚えがあります。
葉は、カヤツリグサのような草にも見えます。


この変わったシダは、フサシダといって中国南部、台湾をはじめ熱帯に分布している植物で、日本では小笠原諸島にしか自生していないシダ植物です。

常緑性の小型の多年生シダで、根茎(こんけい:特殊な形態をした茎で、一見して根のように見える。地中やときに地上を這う。)は、短く葡萄し、直立した葉を多数叢生(そうせい:まとまって出ること)します。

ムニンエダウチホングウシダと同じような環境下で出現し、父島では東部、中部、南部と比較的広く分布しています。

上記の場所では比較的よく見られるシダ植物ですので、ぜひ、山を歩く際に足元の植物にも目を向けてみてください。
きっと、新しい発見がありますよ。
(2004年5月:父島・巽方面)
葉は、高さ20-30cm、幅2−3.5mmで、辺縁は全縁で、葉の先は細くなり胞子嚢をつける小裂片を5個〜15個放射状につけます。小裂片は2-4cm、幅1mm、胞子嚢は小裂片の下面を覆うように付いています。


小裂片のアップ(小さな粒の胞子嚢がついています) フサシダの小裂片
 フサシダは、「房羊歯」と書きます。
その名のとおり、葉の頂端に房状の小裂片をつけることから由来しています。
夏(8月)に若い小裂片を出します。

広分布:シダ類の表紙にかえる