NO.11 コブガシ
Machilus kobu Maxim.

固有種:クスノキ科・タブノキ属)

 夜明道路を上って、旭平展望台を過ぎるとVERA(国立天文台)があります。VERAの入り口左側に見えるのが、コブガシ(左の写真、中央にある木)です。

コブガシは、小笠原諸島に広く分布している小笠原固有の常緑樹です。

樹高は、4〜8m程。

新葉(新しい葉)は、鉄さび色。
新葉の葉の展開は年2〜3回、2〜5月頃と秋頃にあります。この点で、1年に一度しか展開しないテリハコブガシと、大きく異なります。

葉痕(葉がついていたあと)周辺は、テリハコブガシと比べてあまり肥大しません。

(2008年5月:父島・旭平、VERA入口)
葉痕 葉(12月)
葉の大きさは、15〜20cm。
葉は、互生し枝先に集中しますが、テリハコブガシほど典型的にはなりません。
葉質はかたく厚い。表面はこい緑色。

若い茎や、葉の裏側の主脈上を中心に早落性(若い時の毛が、成長とともに次第に落下する性質)の毛があります。よくみると、新葉の色は葉の色ではなく、毛の色だということが分かります。

新葉(5月) 葉の裏側(12月)
 花期は、3月ごろ。

枝先近くに円錐花序(えんすいかじょ)を数本伸ばします。

淡黄緑色の5mm程度の小さな花です。
コブガシには、花序や花被(かひ:がくが花弁の役割りをする)にも目立たない毛があります。

コブガシなど小笠原のタブノキ属は、ひとつの花序に雄花と両性花のような花があります。雄花と両性花は、なるべく交互になるように咲いているようです。
花(2003年3月)
 果期は5〜6月ごろ。
果実の色は、暗紫色。

花序の先端近くに実った果実は、ほとんどが少し色づいたときに落下します。
地面に落ちてから、完全に熟しているようです。

 毎年たくさんなるような場所では、コブガシの実生(発芽間もない芽)や幼樹(こどもの木)があります。

コブガシの実生の姿は、ムニンイヌグスの実生とほとんどかわりません。
コブガシとムニンイヌグスの違いは、成長していくにつれてそれぞれの特徴がではじめ、やっと区別が可能になります。
果実(2006年5月:父島・小曲)

固有種:木本類の表紙にかえる