NO.9 コヤブニッケイ
Cinnamomum pseudo-pedunculatum Hayata

固有種:クスノキ科・クスノキ属)

(2008年5月:父島・清瀬、行文線)

 コヤブニッケイは、小笠原諸島に広く分布している常緑樹です。清瀬など住宅地近くでも見られます。
写真のコヤブニッケイは、清瀬の三角公園から都道の行文線に入り、行文線が途切れた地点から1個目のミラー近く(3mほど手前)に2本くらい道沿いに見えます。
東平入り口には、大きなコヤブニッケイの木に名札がしてあります。
派手さはない目立たない木ですが、光沢のある葉は美しく奥深い魅力があります。

島名はオチャノキといわれ、昔はお茶の代用として利用されていたそうです。
葉には、さわやかな香りがあります。
日当たりのいい場所でのコヤブニッケイの葉 半日陰の場所でのコヤブニッケイの葉

葉は、外来種のクスノキに比べ小型で、硬く厚みのある皮質。全縁(鋸歯(ギザギザ)がありません)。
葉の表面は、光沢があり暗緑色。無毛。
主脈(真ん中の脈)と2本の側脈(主脈から分かれた脈)が目立つのが特徴です。(右上の写真)

コヤブニッケイの樹皮は、滑らかで灰褐色です。
外来種のクスノキの樹皮は、白っぽい色でひび割れます。
[主なクスノキの分布:境浦、大滝から躑躅山、衝立山、小曲など]

花期は、5月ごろ。
赤茶色の新葉を出すとともに葉腋に集散花序を伸ばし、小花を咲かせます。

花(5月:父島・清瀬) 花のアップ

 果期は11月ごろ。

コヤブニッケイは小笠原のたくさんある樹木のひとつですが、不思議なことに果実を見ることはほとんどありません。
ずっと見てみたい果実でした。

偶然、3年前に初寝浦遊歩道で見つけてから、思い出すと写真を撮りに行きます。

 小笠原で果実があまり実らないものに、コヤブニッケイ、トキワサルトリイバラ、ムクロジなどがあります。
果実(2008年10月:父島・初寝浦遊歩道)

固有種:木本類の表紙にかえる