No.41ムニンアオガンピ

固有種:ジンチョウゲ科)

(2003年10月:父島・中山峠) (2003年1月:父島・旭平)

ムニンアオガンピは、戦前サクラコウゾとも呼ばれ、
樹皮を紙の原料にしたと言われています。
ムニンアオガンピは、父島や母島、
その他の島々にも多く生えていますが、
大事にしたい固有種のひとつです。

葉は対生で、枝先に集中してつきます。
葉柄は短く、葉は全体にまるみを帯び
ています。
葉の表面は濃い緑色で、白い粉をふいた
ような感じになっています。

(2002年4月:父島・高山麓) 雌花(2009年1月:父島・西海岸方面)

ムニンアオガンピは、枝頂に花柄を伸
ばし黄色い小花を複数つけます。
ムニンアオガンピは雌雄異株です。
正確には、雌花(葯はあるが、花粉粒がない。)と
雄花(柱頭がなく、結実しない。)と
雌雄同体の3タイプに分かれています。
花の時期は春4月〜5月と秋10月下旬から11月初旬
と断続的に2回〜3回あります。
ムニンアオガンピは、乾燥した
日当たりのよい場所を好みます。

これがムニンアオガンピの雌花です。
雌花は、楕円形をした子房の上にボタンのような大きな柱頭があります。
花を横から見ると、花びらの付け根の方に子房の膨らみを見てとれます。
上から見ると、葯はあっても花粉がありません。
雄花(2009年1月:父島・西海岸方面) 両性花(2009年1月:父島・西海岸方面)
雄花には子房がほとんどなく、子房の先端は筆のような毛があるだけで、目立った柱頭がありません。
ですから、横から見ると子房のふくらみがありません。
花筒は、付け根から一直線に伸びています。
上から見ると、葯には黄色〜橙色をした花粉があります。
雌花より花数が多い傾向です。
両性花は、雌花と雄花の中間的な形態をしています。
正常な葯と花粉があり、下には雌花より小ぶりな子房と柱頭があります。
どちらかというと、一見して雄花に似ています。
横から見ると、下のほうが少し膨らんでいます。
雌花の葯と花粉(2009年1月:父島・西海岸方面) (2004年11月:父島・旭平)
雄花や両性花を上から見ると、ちょっと見える葯の色が黄色〜橙色をしているのがわかります。
これは花粉の色です。
花の中は、粘り気があって花粉が付きやすい環境になっています。小さな昆虫が入っていることもあります。

ムニンアオガンピの核果(モモやウメの
ような果実)は、1センチに満たない大
きさです。
核果は、冬場に赤く熟します。


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