躑躅山

 小笠原の日差しは日に日に強さが増してきましたが、通る風はどことなく涼しさが残ります。
 放棄畑や道路端では、新芽の出てきたワラビ採りを楽しむ人たちが多い。島の春の光景です。
 父島・三日月山ではギンネムキジラミ(Heteropsylla cubana)というアブラムシのように小さな虫が今、大発生かという様相で、ギンネムの新芽や葉にびっしりと付いています。近くを通ると縦横無尽に一斉に虫が飛び交う。小曲でも同様で、ギンネムの葉が出にくくなります。
 ワラビ(Pteridium aquilinum var.latiusculum)
 山に新葉を出す樹木が多く、山の彩に変化があります。巽道路では、オガサワラクチナシ(Gardenia boninensis )が咲いていました。躑躅山ではイワザンショウ(Zanthoxylum beecheyanum )の花が咲き終わりかけていました。今は、傘山付近の方が開花しているそうです。ムニンツツジ(Rhododendron boninense )は、満開に咲いていました。白い花が清楚でとても綺麗なツツジです。
ヤギの食害防止用のネットの中でしか生きていけないムニンツツジ
 一時は一株にまで減少したムニンツツジは、東大植物園で増殖をして島で植え戻しされてきました。
今では躑躅山以外にも小笠原支庁や大神山公園、農業センターなどで手軽に見ることができます。
すべてが親のクローンともいえる株で、遺伝的にも弱いと考えられます。自然での更新は未だない。
 しかし、種子はつけるので今後更新していく可能性もあり、ネットから奥へとむやみに入るのは差し控えておきたい。一縷の望みをかけて・・・。


 ご注意:躑躅山へは小さな山道がありますが、分りにくい部分もありますので初心者の方はガイドや詳しい人と行くことをお勧めします。

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