東平の現状

 〜絶滅危惧種といっても、一種一種置かれている現状と問題は違います。
”種の性質”、ヤギ食害、盗掘、環境の影響など、、、。東平のシマムラサキは、どうでしょうか。〜

 【2】シマムラサキ

 まず、次世代へ更新していくには良好に結実する事が重要です。
シマムラサキは雌雄異株の植物ですから、結実するには雌雄の株がそろって咲き、なおかつ昆虫が受粉するので一定の距離内に異株があることが大切のようです。
しかし、もともと花が咲く個体が少なく、花期がそれぞれ微妙にずれる事があります。→シマムラサキ図鑑説明へ

さらにここ数年ヤギによる食害も多くなってきた為、成長の阻害や花が咲く雄と雌の距離が遠ざかるなど
シマムラサキにとってより厳しい状況になってきています。

 (ヤギの食害の影響)
ヤギの食害の影響だけではありません。

私がはじめて左の個体を見たのは、4、5年程前でした。
当時は、小ぶりながら樹高は50センチあり、近くに雌個体があることから将来の受粉個体を増やす有力株と思っていました。

しかし、その後歩道沿いの植物の仮払いがあり、切った枝を無造作に道沿いに置くのでシマムラサキは下敷きにされ折れてしまいました。
ここ1、2年はやっと20センチ、ところがこの春今度はヤギの食害があり、また一からやり直しです。

この他にも伐採した木の下敷きになる事があり、その都度、都レンジャーに言ったり、埋まったものを出したりしました。捨てる場所は、他の樹種に注意してもらいたいものです。
(仮払いした枝の放置とヤギ食害の影響)

 シマムラサキにしても、今すぐに絶滅する植物ではありません。
ですが、シマムラサキは1年でほとんど成長はしません。親株にまで成長するには長い長い年月がかかっています。
いつまでたっても細い木で頼りない感じです。
もし、シマムラサキの花を目にしたら、きっとその木はもう何十年とそこにいるのでしょう。
外来動物の脅威がない、自然な状態での順調な成長と更新ができる環境が必要なのです。


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