No.58ウチダシクロキ

固有種:ハイノキ科)

ウチダシクロキは父島だけに
生えている固有種です。
コバノトベラとともに絶滅が
心配されています。

私が案内された場所は
風の強く当たる、岩石の多い
乾燥した急斜面でした。
樹高の低いシマイスノキの
中に埋まるようにありました。

そこで見たウチダシクロキの
樹高は人の腰ほどでした。

(2003年11月:父島)

ウチダシクロキはムニンクロキ、
チチジマクロキとともに
ハイノキ属です。
それぞれのクロキは、
限られた小笠原の自然の中で、
ぞの場所に合った特徴を
もった種に分化していきました。
(適応放散)
ウチダシクロキは、植物にとって
好ましくない乾燥した場所で、
生き残こる選択をしました。
右の写真のように、どの葉も
縁が裏側へ巻き込んでいます。
厚い革質で、葉柄は平たく
葉脈がへこんでいます。
葉からの蒸散を防いでいるの
でしょうか。

(2003年11月:父島)

ウチダシクロキの花は、葉の中に
隠れるように咲いていました。
花の咲く時期は11月頃です。

花は1センチに満たないほど
小さく、白色をしていました。
花弁は5枚で、長く伸びた
雄しべが目立つ花です。

若い枝は、黄色を帯びて
いました。
また、稜をもっていました。

(2003年11月:父島)

私が見たウチダシクロキの
果実は、熟して紫黒色になって
いました。
1年かかって、紫黒色の果実に
なったようです。

青い果実はしわがありませんが、
熟した果実にはしわがよって
いました。
大きさはパチンコ玉ほどの
大きさでした。

小笠原植物図譜には「開花して
も結実するものが少ない。」と
あります。


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