NO.64 オガサワラクチナシ
Gardenia boninensis (Nakai) Tuyama ex T.Yamaz.

固有種:アカネ科・クチナシ属)

 オガサワラクチナシは、山頂付近から山腹にかけて広く分布している植物です。

 普段はあまり目立ちませんが、花の頃はとても美しく、いい芳香が辺りを包みます。

 日に当たる場所を好み、岩石地付近の低木林では多数枝分かれして株状になり、林内のものは林冠にでようと背を伸ばしてひょろっとしています。
(4月:父島・夜明道路沿い)
 葉は光沢があり、対生につけます。

側脈は10〜13対になり、主脈と側脈は裏面に突出しています。
葉の先端は、鈍頭に尖るものが多い。
無毛で革質、辺は全縁。
やや厚いしっかりした葉です。
薄い托葉があり、茎を抱く。
 花期は、4月〜5月頃。
枝先にひとつずつ花を付きます。
蕾は花弁がねじれるようにして立つ。
花は花弁は6枚(稀に8枚)で、風車のように開いていきます。直径は6〜6.7cm程、花筒は4.2〜4.5cm程で長い。

これだけ花筒が長く芳香が強いので、蛾媒花だろうと思いきや、未だその姿を確認できずにいます。昼間はセイヨウミツバチ、夜は甲虫が訪れます。上を歩いたときに受粉するのかもしれません。

強い芳香があり、ムニンネズミモチの花とともに初夏の山の香りです。
(5月:父島)
 果期は2月〜3月頃。
実は黄熟し、楕円形で6個の稜があります。

なかなか熟さず、
一番熟す時期にも黄色が限度。
本州のクチナシ(Gardenia jasminoides)のような橙色にはなりません。
(3月:父島)

固有:木本類の表紙にかえる