オオモンヒメシロノメイガの大発生の範囲を調べる

 巽谷の丘陵でオオモンヒメシロノメイガの大発生を見たのは、去年の11月中旬頃でした。木に近づくと、それまで葉の裏に隠れていたオオモンヒメシロノメイガがバッと飛び立ちます。それから2ヶ月もしないうちに、ムニンネズミモチの葉はほとんどなくなりました。他の場所の葉は元気に茂っていたので、ここまで食べられるとは思わず驚きました。
どの程度の範囲で起こった事なのか、隣の丘、中央山山頂、旭山山頂で観察記録をつけました。
かなり大雑把な性格が見え隠れする記録ですが(^^;)、、、よかったら見てください。(み)

【方法】

オオモンヒメシロノメイガの発生範囲を調べる為に、まず植物の葉に残された食痕を手がかりにして発生状況を調べました。
観察地は、環境をなるべく統一させる為に日当たりの良い稜線を選びました。
観察記録は、2月2日から16日にかけて食痕を観察しました。
巽谷のA丘とB丘では10uで行い、
中央山山頂と旭山山頂では10uがとれなかった為、ライン20mで行いました。

食痕あり:○、食痕なし:×

(1)巽谷A丘
標高:約250m
(2)巽谷B丘(A丘のとなり)
標高:約200m
(3)中央山山頂
標高:約310m
(4)旭山山頂
標高:約260m
個体数 食痕 被度
1 10%未満
2 10%未満
3 10%未満
4 10%未満
5 10%未満
6 10%未満
7 10%未満
8 30%
9 40%
10 80%
11 80%
12 20%
13 40%
14 50%
15 30%
16 0%
17 50%
18 60%
19 40%
20 0%
21 10%未満
22 10%未満
23 10%未満
24 0%
25 10%未満
26 10%未満
27 0%
28 10%未満
29 10%未満
30 30%
31 40%
32 50%
33 80%
34 30%
35 30%
36 30%
37 30%
38 0%
39 10%未満
40 0%
41 0%
42 0%
43 30%
44 30%
45 40%
46 30%
47 20%
48 70%
49 30%
50 40%
51 40%
52 30%
53 10%未満
個体数 食痕 被度
1 80%
2 70%
3 80%
4 90%
5 80%
6 20%
7 50%
8 80%
9 90%
10 50%
11 40%
12 70%
13 60%
14 90%
15 40%
16 70%
17 50%
18 70%
19 60%
20 40%
21 80%
22 10%
23 20%
24 10%未満
25 10%未満
26 20%
27 50%
28 30%
29 40%
30 30%
31 60%
32 80%
33 30%
34 30%
35 20%
36 90%
37 80%
個体数 食痕 被度
1 90%
2 90%
3 70%
4 80%
5 90%
6 100%
7 100%
8 100%
9 90%
10 100%
11 90%
12 90%
13 80%
14 80%
15 100%
16 100%
17 90%
18 90%
19 × 90%
20 90%
21 70%
22 70%
23 80%
24 100%
25 80%
26 100%
個体数 食痕 被度
1 × 80%
2 × 60%
3 × 80%
4 × 100%
5 × 100%
6 × 90%
7 × 70%
8 × 70%
9 × 80%
10 × 100%
11 × 60%
12 × 80%
13 × 100%
14 × 60%
15 × 80%
16 × 100%
17 90%
18 70%
19 90%
20 90%
21 90%
22 100%
23 × 100%
24 80%
25 80%
26 80%
27 90%
28 100%
29 90%
30 70%
31 90%
32 80%
33 × 90%
34 60%
35 50%
36 90%
37 90%
38 80%
39 80%
40 100%
41 100%
42 × 100%
43 90%

【結果】

 食痕の有無は、巽谷から距離が離れる程食痕がなくなるか、または少なくなる傾向が見られました。
ムニンネズミモチの葉についての被度の割合では、食痕の多い巽谷では被度50%以下が半数以上にのぼりました。反対に中央山や旭山では被度の割合が高く、食痕の有無が被度に影響を及ぼしていない事から、この地域ではオオモンヒメシロノメイガの発生は少なく、その影響は小さかった事が推察できます。またその後の観察で、躑躅山でも巽谷と同様にムニンネズミモチは食痕のある葉が僅かに残る他は葉がほとんどない状態であることも分りました。

 以上の事から、オオモンヒメシロノメイガの発生は、巽谷の周囲およそ半径400mの範囲で特に多かった事が伺えます。

〜 付録:自由研究のススメ 〜

 私の観察は、小学生の自由研究に似ています。もし自然に興味のある子がいたら、ぜひ自然観察をする時にその状況を小さなノートに記録しておく事をお勧めします。

@何に着目するか決める。
Aデータを集める(観察と記録、写真など)。
B整理する(表やグラフの作成)。
Cまとめる(結果を導く)。

家や学校の周りにはどんな生き物がいるだろう?集まる昆虫にはどんな違いがあるだろう?春夏秋冬で生えてる草は変わっているか?、、、、などなど、知ってるようで知らなかったこと、不思議な事が自然にはいっぱいあります。
はてな?が生まれたら、きっと小さな学者の誕生です。

近頃では、小学生が素晴らしい研究発表をしているそうです。制作する上で分らない事がでてきたら、まず図鑑で調べてみましょう。それでも分らなかったら、知ってそうな大人を捕まえて聞いてみたり、研究者の講演会に行って、最後の質問時間などに何でも聞いてみるといいと思います。


歳時記の目次へかえる