母島旅行記(2008年:その1)

ハハジマノボタン
Melastoma tetramerum Hayata var. pentapetalum Toyoda
ハハジマヌカボシ
Microsorium superficiale (Bl.) Ching
 八月、子供たちの夏休みに母島に行くことにしました。
私と子供たちだけで始めて行く旅行です。大きな期待と少しの不安・・・。

 乳房山へは二日間通いました。
少しスコールがあるくらいで連日天気のよい小笠原です。長時間の山歩きは、朝早くでかけるとすがすがしい気分です。夏の時期は、早く出かけるのがお勧めです。乳房山は、子供のペースであるけば5歳くらいの子供でも歩ける山です。飲み物は最低1人1.5リットル以上を必ず持って、休憩を多くとるようにします。

 久しぶりに歩いた乳房山は、林床から頭上の樹冠まで緑が茂り、一歩進むごとに体のどこかに葉が触れていきます。山頂では、涼しい風が吹き、雲霧帯とよばれる霧がかかることがあります。
父島とはまた違う、むせ返るほどの生物の息吹に圧倒されます。
オオバシマムラサキは蕾がよく食べられていました。幼虫の姿は見えませんでしたが、オガサワラシジミのようです。運がよければ、蝶の姿も見れるかもしれません。

 山頂付近では、ハハジマノボタンの美しい花に癒されます。ハハジマノボタンはムニンノボタンの変種です。花は淡桃色で、花弁が5枚という特徴があります。父島にあるムニンノボタンの花弁は4〜5枚です。

 母島は、シダの観察にも向いています。父島のシダがやや乾燥気味にも耐えられるものが多いのに対し、母島のシダは湿潤を好むものが多く生育しています。その種数も個体数も多いです。
シマオオタニワタリ、マツバラン、コクモウクジャク、オオトキワシダ、ウチワゴケ、リュウビンタイモドキ、オオイワヒトデ、オオバノヒノキシダ、ハハジマヌカボシ、ムニンヒメワラビ、マルハチ、ヘゴ、などなど、、、。その特徴や違いを、実際に手にして近くで観察することができます。
ハハジマヌカボシは、小笠原とヒマラヤ〜マレーシアにかけてのアジアの暖地に自生するシダです。小笠原諸島では、母島にしかありません。このように、母島には日本で唯一の自生地になっているシダがいくつかあります。
 シダはとても美しい植物です。葉の切れ込み方は多様で、それぞれに美しさがあります。胞子嚢の付き方は種によって異なり、特徴がある部分です。葉の裏側も、ぜひ見てください。
母島の乳房山は、親切に植物に名札もかけてある事もあります。初めて見る植物も分かりやすいです。

 今回の旅行で、チトセラン、ヤンバルツルハッカ、ヤエヤマアオキ、ハマナタマメ、ヤハズソウ、ハハジマノボタン、ムニンセンニンソウ、オガサワラボチョウジ、オオバシマムラサキ、シマザクラ、チクセツランの花々に出会うことができました。
オオバシマムラサキのつぼみに食痕 乳房山からの眺め

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