父島のハナバチ1



 父島で普通にいるハチといえばセイヨウミツバチがいますが、
これは人間が養蜂用として小笠原に持ち込んだ種で、もともと小笠原にいませんでした。
小笠原には、本来ハナバチといわれる9種のハチがいます。
これらは、兄島にいくと現在も見られますが、父島ではもういなくなったのではといわれていました。
その原因は、アノールトカゲによる捕食が原因と考えられ、飼育試験でもアノールがハナバチを食べることが確認されています。

 しかし、すばやく飛ぶ事ができて針もあるハナバチがそんな簡単にいなくなるのでしょうか、、、疑問に思いました。
そこで、2006年からアノールがほとんどいない海岸付近を探してみることにしました。すると、ハナバチを3種(クマバチを除く)確認できました。
ムカシハナバチ科のイケダメンハナバチ、コシブトハナバチ科のオガサワラツヤハナバチ、ハキリバチ科のアサヒナハキリバチが花を訪花していたのです。

 今日は、この中でハキリバチ科のアサヒナハキリバチについて書きます。
本種は海岸付近を主に活動し、ハマゴウ、グンバイヒルガオ、クサトベラ、イソフジ、などの花を訪花し、ハマゴウをとくに好んで訪れます。
 その理由として、ハマゴウは開花期間が長く、4月から11月頃まで咲くことで花と花粉を必要とするハチにとって都合がよいばかりでなく、アサヒナハキリバチの活動期間も5月下旬から10月中旬とよく一致しています。
ハマゴウの花の形は、ハチが花に頭を突っ込むと背中に花粉がつくようになっていて、お互いにいい関係となっています。

 本種は、父島にたくさんいるというわけではありません。個体数は少ないです。
この理由については、3年間の観察ではアノールに待ち伏せされて捕食されるところは確認していないので、原因は他ににありそうだと感じています。
ひとつは、セイヨウミツバチによる圧迫が挙げられます。養蜂の巣箱が近い海岸においては、セイヨウミツバチの密度が高く、せっかく花にハナバチはきていてもセイヨウがくると散ってしまい訪花活動に苦しいんでいました。(60分観察)
それに対し、セイヨウがほとんどこないハマゴウ群落では、9割がアサヒナハキリバチとイケダメンハナバチで占めていました。(60分観察)

 現在、この考え方は研究者に否定されてしまいますが、アノールが見られないのは事実なのでそのほかの可能性も考えてみる必要がありそうです。
ハマゴウに止まろうとするアサヒナハキリバチ 8月28日父島
ハマゴウにとまるアサヒナハキリバチ 8月28日父島(背中にハマゴウの花粉つける)
ハマゴウに頭を入れ密を吸うアサヒナハキリバチ(お腹の下側に花粉ダンゴをつける 8月28日父島

〜編集後記〜
父島のハナバチについては、今までいくつかの目撃例があっても、
父島ではアノールによる捕食によって絶滅し
現在はたまに兄島から飛んできているのだろうと研究者に考えられてきました。

ところが、どうも違うようです。
みんなが楽しむ海辺の片隅で、ひっそりと生きていたのです。
父島のハナバチが海岸にしかいないということも、何か理由がありそうです。
これからは、その生態や個体数の把握を解明し
わずかに残った父島のハチを保護していかなくてはいけないでしょう。


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