黄金と死者の指

オガサワラキンハナビラタケ
マメザヤタケ

 9月になって秋風を感じる季節になりましたが、まだまだ暑い小笠原です。
天気は変わりやすく、晴れているかと思えば突然強いスコールがくることもあります。
しかし、本格的な秋を知らせるオガサワラゼミの鳴き声は、まだ聞いていません。
きのこにとってはほどよい湿度と気温と日光です。山ではいろんなきのこを見ることができます。

 ところで、島では子供たちを中心に風邪が流行っています。
我が家も例にもれず、夏休みの終わりごろから今もずっと家族みんなで順番にひいています。
そんなこんなで、、、やっと良くなってきたので久しぶりに山を歩いていると、モクタチバナの幹に美しいオガサワラキンハナビラタケ発見しました。
オガサワラキンハナビラタケは、秋に発生する小笠原固有のきのこです。
薄いキクラゲのような姿で、黄色い花びらのように重なり合っています。
私が小笠原で最も綺麗だと思うきのこです。
今までは図鑑で見るばかりだったので、念願がかなってとても感激しました。

となりのマメザヤタケは、倒木に群生して発生します。世界中に分布する広分布種です。
硬い質感でいろいろな形に変形しています。
欧米では「死者の指」と呼ばれています。
薄暗い林内の倒木に発生する奇妙な姿は、なるほどと思える名前です。

みなさんも、小笠原の山で小さな秋を探してみませんか。

 山歩きといえば、、、
小笠原では、いよいよ9月30日から利用ルールが開始されます。
観光客が都道遊歩道以外の山に入るには、利用講習を受けたガイドが一緒にいないと山に入れない場所があります。
利用ルートはかなり複雑ですので、山に出かける前に事前にどのような利用ルールになっているのか確認してから出かけることをお勧めします。
一般島民については、簡易な利用講習を受けた後、入林許可書に記入してから利用可能なルートの範囲内で山歩きができます。

これから小笠原の自然は大きく変わっていくことでしょう。


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