葉にもぐる昆虫1

(コヤブニッケイにいるホソガの痕跡) (中央下に3本の白い線のように見えるのが幼虫)

 植物の葉を見ると線で落書きしたような跡があります。
これは潜葉性昆虫といって葉の表皮層を破壊して葉の内部で幼虫期間を過ごすもので、蛾やハエ、甲虫などがいます。今回は蛾の仲間を紹介します。

 蛾のなかで葉にもぐるのはホソガ科が多く、このコヤブニッケイに潜るのもホソガ科で種名は不明ですが、Acrocercops 属というところまでわかっています。
幼虫は5月ごろと10月ごろの2回発生して、葉の柔らかい新葉のみ利用し、葉が硬くなるともぐることができません。幼虫期間は1週間前後で、繭を作るのは葉の外にでて地中などで行われます。
したがって、葉のなかにいる幼虫に出会うことはなかなか難しく、普段は潜ったあとの葉を目にすることが多いのです。

よくコヤブニッケイの葉に穴があいているのは、昆虫が潜ったところの葉の弱い部分で黒ずんだりします。(右上の写真、下の部分)
一見植物にはよくないように思えますが、このホソガはコヤブニイケイだけに小さく潜るだけで植物を枯らすことはありません。食害というよりは、この蛾を養っていると考えると見方が変わると思います。

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