砂を掃くハチ

オガサワラスナハキバチ(2008年6月:父島)
 父島の海岸を歩いていると、5月下旬頃からハエのようにすばやく飛ぶ虫がいます。
これはオガサワラスナハキバチという固有種のハチで、父島、兄島、母島で確認されています。
聟島列島にはオガサワラスナハキバチ聟島亜種がいて本種と区別されているので、そんなに移動力はないと考えられます。

 行動は単独性で、普段目にするのは雌がほとんどで雄は繁殖時期のみ出現すると思われます。
雌は、交尾を終えたあと卵を産む為に砂を前脚で掃いて穴を作るようです。幼虫の餌はウンカやヨコバイで、母バチが狩りをし捕まえて巣に運びます。このような行動を繰り返し行い、母バチは時々花を訪れ蜜を吸いエネルギーを補給しているようです。

 兄島などでは、海岸以外に山頂付近の土が露出したところやガレ場にいるようです。父島では、海岸でしか見られません。これはおそらくアノールトカゲの捕食圧に負けて消滅したと考えられます。
ではなぜ海岸が大丈夫なのかというとよくわかっていませんが、もともとアノールトカゲが海岸部にあまりいないことや、開けた環境ではアノールトカゲも鳥に捕食される確率が高いなどが考えられます。

 父島では現在も多くの海岸で生息が確認されているので、このままの環境状態を維持できれば、後世にも変わらず見られると思います。

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