海岸にいる白い貴婦人

ハマゴウの葉をとじて中に潜む幼虫 マエモンノメイガ
 今年海岸に生えるハマゴウの花の開花が遅く、6月になってから咲き始めました。

 花期と時を同じくしてハマゴウの葉を折りたたんだ光景を目にします。
この中には蛾の幼虫が巣を作っています。マエモンノメイガといってツトガ科ノメイガ亜科の仲間になります。
この仲間の幼虫は葉を糸でとじて中に潜み内側から葉を削るように食べたり、夜になって外へでて葉を食べたりします。
これは幼虫期間に鳥などから捕食されるのを避けるためだと考えられています。

ところが1990年ころからチャイロネッタイスズバチというカリバチの1種が父島で見られるようになりました。
このハチは幼虫の餌として蛾の幼虫を狩り巣に運んでいきます。そして特に餌として狩られているのがマエモンノメイガの幼虫です。
前述で捕食を回避するため葉を綴じていると書きましたが、このハチは葉の両側をおおあごで噛み幼虫がびっくりして出てきたところを捕まえます。
このように巧みに葉を綴っても、幼虫は必ずしも安全とは限りません。
今のところ特に減少していることはなく、海岸を歩いていると白っぽい成虫の姿を見ることができます。

 マエモンノメイガは小笠原以外にもいる広域種ですが、小笠原産のものは白っぽく地域変異なのではと言われていて蛾の研究者の中で白い貴婦人と表現する人もいます。 

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