オガサワラオオコウモリとアデク属

アデクモドキの樹下にあったペレット(2009年2月:父島)
 小笠原では、日ごとに日差しが強くなってきて、晴れればポカポカとした暖かさを感じます。

 この時期、山ではアデクモドキやヒメフトモモの果実がたわわに実ります。
それがちょうど完熟する頃になると、それを狙ってどこからともなくオガサワラオオコウモリが集まってくるらしく、今年もアデクモドキの樹下にオガサワラオオコウモリの残したペレット(液体だけを吸って繊維質部分を吐き出したもの)が、ぱらぱらと落ちていました。
タコノキ、タコヅル、モモタマナ、ムニンネズミモチ、アデクモドキ、ヒメフトモモ、、、。
山の植物の周囲を注意深く見ると、こうした光景が島内のあちらこちらで見られます。

 先月、テレビの南硫黄島の特集で、南硫黄島のオガサワラオオコウモリは非常に硬いものを食べているのであごが発達している、父島のものと違ってきているのではないかと進化について語られていました。

私は、オガサワラオオコウモリについてそれほど詳しくはありませんが、、、
逆説的に言うと、父島や母島のオガサワラオオコウモリがあまりにもおいしい果実が実る外来種(人が持ち込んだ果樹)に依存しすぎていて、あごの力が弱くなっているのかもしれない、、、とも思えました。
人が住んでいる島ですから農作物がないと困りますし仕方のないことですが、図らずとも外来植物が在来の動物に与えている影響も少なくないでしょう。
また、人の入植以前よりオガサワラオオコウモリが在来植物を食べなくなってきていることが、結果的に在来植生に何らかの影響を与えている可能性もあります。

森にオガサワラオオコウモリが飛び交う姿を思い浮かべると、ともすれば「害獣」にされてしまうオガサワラオオコウモリの本来の姿を見るようで、私は幸せな気持ちになります。

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