オオモンヒメシロノメイガ大発生
枝だけ残ったムニンネズミモチの群落(2007年1月19日:父島・巽谷) |
父島の林内を歩いていると、白っぽい蛾が舞っていきます。 これは、オオモンヒメシロノメイガというツトガ科ノメイガ亜科に属す蛾です。小笠原の他、屋久島以南の琉球諸島などでみられる広分布種になります。蛾の幼虫は、植物の葉を食べるのが大半です。本種も、モクセイ科のムニンネズミモチとシマモクセイを食べる事が知られています。 小笠原では昨年9月と10月に大きな台風が通過して、植物も大変ダメージを受けました。葉もかなり飛んでしまいました。そのせいか、一時期この蛾もたいへん数が減ってしまいました。 ムニンネズミモチは、11月頃から新しく葉を展開してきましたが、年末にはその葉がほとんど食べられ、無惨な姿になってしまいました。 そう、このオオモンヒメシロノメイガの仕業です。 台風の影響なのか、この年特有のものなのか、理由はわかりませんが晩秋から大発生しています。いくつかのムニンネズミモチの木は枯れてしまう程です。 こうなると蛾は悪者のようにみえますが、蛾は本来、訪花昆虫であり花に訪れ蜜を吸い花粉を別の花に運んでくれる仕事を担っています。現に父島では、ムニンアオガンピ、ムニンシャシャンボ、ムニンネズミモチ、ナガバキブシ、ムニンヒサカキ、チチジマクロキ、キンショクダモなどを訪れています。このことから大発生ということは、それだけ多くの花をまわり、実をならしてくれることでもあります。 ムニンネズミモチとシマモクセイは、小笠原では個体数の多い植物です。乾燥にも強い為、枯れる機会が少ない植物でもあります。これは想像ですが、蛾がたまに大発生して枯れたところに他の木が育ち、森の構成を豊かにしている、、、もしかすると、そんな一面もあるのではないかと思うのです。 (勉) 蛾図鑑: オオモンヒメシロノメイガ |