母島旅行記

母島の山々(ははじま丸から)
 小笠原の自然が好きな人なら、一度は母島へ行ってみてほしい。
父島より人口もす少なく、素朴で暖かい「島国」を体感できるし、母島でしか見られない動植物も魅力です。

 母島へは、父島からははじま丸に乗って2時間程でつきます。
1年ぶりに乗ったははじま丸では、母島に着く頃になると船内アナウンスから「母島に生息する固有の陸産貝類を守る為、父島から泥のついた靴をお履きの方は母島観光協会にあるマットで靴底の泥を落としてください。ご協力をお願いします、、、」と細かいことは忘れてしまったけれど、そんな内容だったと思う。パンフレットなどでも、陸産貝類への配慮を求めているのを目にしました。
陸産貝類の観察は、今回の旅行の目的のひとつです。

実際、父島ではニューギニアヤリガタウズムシ(Platydemus manokwari )はいつの間にか侵入して、父島で生きている固有陸産貝類を見る事は、ほとんどないような状態にまでなってしまいました。恐るべき外来生物です。一方、母島では小型のプラナリアの一種(Bipalium sp. )など数種が侵入して、小さな陸産貝類の減少を招いています。
ニューギニアヤリガタウズムシは、海水や乾燥に弱いことが知られています。
父島以外の島は、まだ固有の陸産貝類が生育しているので、ニューギニアヤリガタウズムシがこれ以上他の島へ移動する事のないように、泥のついた植木などの移動、父島からの泥のついた靴などでの移動は、十分注意する必要があるのです。

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 10月11日、到着してすぐに乳房山に向かいました。
乾燥した靴を履いてきましたが、念のためはじめに海に寄って靴底を海水で濡らして出発しました。

 乳房山の遊歩道は整備されていて、子供でも徒歩で往復3時間半〜5時間程で歩けます。
母島の植物は、私が日頃見ている父島の植物と同一種でも少々印象が異なります。
父島で個体数が多いものが、母島へ来ると少なかったりします。
花期と果期は、父島より半月くらいは早く感じます。私が行った頃には、ムニンシュスランが咲き始めており、まだ東側の斜面ではシマザクラが綺麗でした。
父島では今の季節見れる花があまりないのですが、乳房山では予想以上の花に出会いました。
生えている外来の雑草も、父島と違うものがあります。母島にしかないシソ科の雑草ヤンバルツルハッカは、乳房山などの山地の遊歩道沿いに多い。
 シマザクラ(固有種:アカネ科)  ヤンバルツルハッカ(外来種:シソ科)
足を止めると、枝から枝へ渡る固有の鳥メグロの姿がちらほら。。。ハシナガウグイスは近寄ってきます。アカガシラカラスバトは、星さんに聞いたところ1ヶ月前から目撃されているそうですが、最近は見ていないというお話でした。父島でも同じような状況で、これから秋から冬にかけて目撃の多い季節になってきます。
目的の陸産貝類は、4、5種類の樹上性のマイマイを見る事ができました。
テンスジオカモノアラガイ属(Boninosuccinea)は小笠原固有属の貴重な陸産貝類です。オガサワラオカモノアラガイとの2種からなる。小笠原諸島の陸産貝類には5つの固有属があり、それらがガラパゴスのフィンチのように環境に適応して、様々な種に進化しています(適応放散という)。

 母島の最高峰の乳房山山頂(462.6m)からは、雄大な景色が望めます。
山腹にはハハジマノボタンが、山頂付近には母島固有種で固有属のワダンノキが多く、少株ながらユズリハワダンの姿も見ることができます。
海岸林や昔の植栽跡と思われる場所や二次林から、高木林や雲霧がかかりやすい母島ならではの湿性地型の低木林など、様々な植生が次々と変化する。遊歩道で、これだけの植生の変化は父島では見られない。
 小笠原の山というと、動植物の宝庫という事から石門や東平などが有名になりがちですが、乳房山も間違いなく小笠原を代表する素晴らしい山です。
 ベッコウマイマイの仲間  オガサワラオカモノアラガイ  テンスジオカモノアラガイ
植物:オオバシロテツ 植物:シマオオタニワタリ 植物:アカテツ
乳房山で見た花(10月11日) 乳房山で見た果実(10月11日)
ムニンアオガンピ、ムニンイヌグス、ムニンシュスラン、シマザクラ、オガサワラボチョウジ、ワダンノキ、シマイスノキ、ウラジロエノキ。 オガサワラビロウ、ムニンイヌグス、ヤロード、オオバシマムラサキ、ムニンハナガサノキ(色付き始め)、タコヅル、アカギ、キバンジロウ。
乳房山山頂の雑草・野草
オガサワラスズメノヒエ、スズメノコビエ、カタバミ(少)、オニタビラコ、オオヒメクグ、エダウチチジミザサ、ハマスゲ、メヒシバ、オヒシバ(少)、オオバナセンダングサ、カッコウアザミ、ウスベニニガナ、ヤンバルツルハッカ、クグ、オオアレチノギク(少)など。



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