コップの中に碁石があるきのこ

                    (2006年3月:父島・境浦橋付近)
 父島の海岸通りを歩いた時に、土木工事後に敷いたウッドチップに変わったきのこが生えているのを見つけて写真を撮りました。

高さ1センチ程の小さなきのこが、半日陰地に群生しています。
外皮はゴワゴワしていて、成熟すると上面が薄くなってコップ状になるようです。
しかも、、、!まるで碁石にそっくりの「何か」が入っています。
何というきのこだろう・・・。
なんだか気になって、菌類の専門家である友人の三浦進さんにメールで尋ねました。以下がお返事の一部です。
いつもながら大変勉強になったので、ご本人に了解をいただいてHPに載せる事にしました。

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 これは、チャダイゴケ科チャダイゴケ属のスジチャダイゴケ(Cyathus striatus)だと思います。
理由は、コップの内側に条溝がある、外皮が褐色の毛に覆われている、コップの基部に柄がある、 の3点です。日本全土、北半球に広く分布します。碁石の中に胞子を形成します。

図鑑によると、Cyathus boninensis という小笠原固有種の報告が過去にあるようですが、詳細は不明です。
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 「チップは樹皮の形態から針葉樹のように見えますが、どこから持ってきたチップでしょうか。」という一文も添えてありました。
私も気になっていたので、島の友人に聞くと、あれは本土から持ってきたものではなく、島内で伐採した木をチップ状に砕いて敷いているのだそうです。
そういえば、3年前ほど前だったでしょうか、、、夜明道路沿いのリュウキュウマツを伐採した時がありました。もしかしたら、それでしょうか。。。

 小笠原は今、世界遺産の推進とともに、アカギ、リュウキュウマツ、トクサバモクマオウなどなど、、、外来植物の除去活動も活発になってきています。
こうした樹木の再利用はチップにする他にも、いろいろな試みがあります。
2003年、東平サンクチュアリーを作る際に伐採したアカギは、国有林課から依頼を受けた小笠原のNACS-JOによって木道や椅子に姿を変え島らしいくつろぎのスペースになっています。さらに欲を言うと、あまった木材を林道の奥に捨てていたのは、残念ながら少し問題だった。あの時に林縁を好む危惧種の稚樹は何株も下敷きになってしまった。
2004年には違った活用法も作られました。(NPO)小笠原野生生物研究会では国有林課との連携で乾かした材から炭焼を作り、バーベキューの炭や土壌改良剤や置物などとして、伐採→捨てるから、伐採→有効活用する方法ができました。
外来種駆除後の自然に負荷をかけない後始末と有効活用の両面を担えることは画期的で、炭焼が果たす役割は今後も大きくなってきそうです。


・三浦 進  小笠原きのこ小図鑑 (NPO)小笠原野生生物研究会


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