4月歳時記

アコウザンショウの新緑


 ずいぶん暖かくなったかと思えば、ここ数日は寒の戻りのようです。
天候も変わりやすい。予報も当たったり外れたりなので、山歩きに雨具を持っていく事が多くなりました。

 山の植物は、暖冬の影響か花や葉などの季節変化が半月から1ヶ月ほど遅れています。
3月の半ばから、やっとアコウザンショウやモモタマナは落葉して新葉に変わってきています。島民の楽しみであるワラビ採りも、4月になってようやくシーズンになってきました。

去年の台風後、樹冠が飛んで森林はずいぶん明るくなっています。明るくなった後に実生が目立つ一方で、野生化したノヤギが歩きやすい状況になっています。ノヤギによる食害も相変わらず多い。東側の林縁は木が枯れるほどのダメージがあり、森林は部分的に後退しています。
小港海岸の林縁を彩るムニンハマウドの群落は、コーヒー山から下りてくるノヤギによる食害で、葉がない状態が続いています。小港海岸は、父島の中でも一際美しい海岸林なのでとても残念です。

 4月の村民だよりに父島でのノヤギの駆除事業報告が載っていました。村が実施している農作物被害の軽減を目的にしたノヤギの駆除(銃器)は、平成18年度には計駆除数302頭の実績をあげたそうです。この数は、年間駆除頭数100頭あまりだったここ数年間の3倍近くにあたります。村の前向きな取り組みと、関係者の多大な努力の賜物だろうと思いました。平成19年度からは、(7月〜9月を除く)年間を通して行うそうです。

こうした外来種問題は、決して外来種(ノヤギ)が悪いわけではありません。移りゆく時代と人間の行為の代償であり、遺された資源や財産をできるだけ次世代へと繋げるために、今を生きる私達がやらなくてはならない事なのでしょう。
 



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