梅雨のような小笠原

(父島・夜明道路夜明山入り口)
 9日から小笠原は、北海道にある低気圧から長く伸びる前線がかかり、しとしとと長雨が降って梅雨のようです。雨はしとしと降っていたかと思うと強い豪雨、少し間止むのを繰り返しています。
小笠原は梅雨がないそうですが、毎年この時期は前線がかかり、1〜2週間天候の悪い梅雨に似た時期があります。

長雨とともにこの時期を象徴するのはシロアリとオオヒキガエルです。むぅっとする夕方から夜にかけて雨が止むとどこからともなくでてきて、昨日には本格的に出始めました。また、電灯に集まるシロアリが落ちてくるのを狙ってオオヒキガエルも沢山集まります。
 山では雨が降らずとも濃い霧がかかっています。100メートル先は景色が分らないほどです。

気がつけば、あちらこちらできのこが見られるようになりました。
遊歩道沿いに出ていたサンコタケは、腐敗臭を出して虫に胞子を運んでもらうといわれています。この日は小さな虫がきのこを食べるためか、それとも胞子を運んでくれるのか、幾つも集まっていました。
 サンコタケ(父島・旭山遊歩道)
 山を歩いていると、3〜4月に多いクマネズミの‘枝落とし‘とよばれる食害を、今年はまだよく見かけます。‘枝落とし‘は枝や葉柄が刃物で切ったように鋭く切られる食害の事です。
 私が見たのは、東平、旭山、中央山で、樹種はテリハハマボウ、ヤロード、オガサワラモクレイシ、ムニンエノキなどが食べられていました。
都立大(現、首都大学)のクマネズミ研究の調査では、この時期には実に18種もの樹木の食害が報告されています。特に外来種の影響が強いと聟島列島や西島の小さな属島では、固有植物に対するネズミの影響が懸念されています。

 クマネズミはなぜこんなことをするのか、、、。研究によると、樹液を吸う為という説が有力です。この時期に結実する植物が少ないことから、餌不足で樹液を吸うと考えられています。
 散乱するオガサワラモクレイシの葉      切り口は鋭い

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