NO.18 シロトベラ
      Pittosporum boninense Koidzumi

固有種:トベラ科・トベラ属)

 父島、兄島、弟島、母島に分布しているシロトベラは、トベラ属の中でも一番個体数が多く、分布も広い植物です。三日月山から洲崎道路まで、車道沿いにもよく見られます。

 乾性低木林の明るい林縁や林内を好むシロトベラは樹高が2〜5mと高いのが特徴です。
オオミトベラの葉は最長幅が3分の2程のところにあり、雫のような形であるのに対して、シロトベラの葉は最長幅が中央付近にあるものが多く、幅は細い。辺は全縁、オオミトベラより強く波打ちます。

(9月:父島・夜明道路沿い)
 新葉は、花の直前に一斉に展開します。
若い葉を輪生状につけ枝先に集中し、やがて不必要になった去年にでた古い葉は、次第に落としていきます。


 シロトベラは、樹皮が白いことから命名されたといわれますが、オオミトベラなど他のトベラ属も白いので、樹皮だけで見分けるのは困難です。一番分りやすいのは花や実です。

 4月、シロトベラは新しく伸びた枝先に花序を上げてきます。

(4月:父島・夜明道路沿い)
 花は集散花序(花軸の先端に花を付け、次の花は側枝の先端に花をつける花序の総称。)で、花軸は何度か分岐して多くの花を咲かせます。花軸は長いが、花茎が特に短いということもオオミトベラとの識別点です。
花の色は乳白色、花が終わりの頃になると黄色味を帯びてくるものが多い。

 小笠原には、シロトベラの他にオオミトベラ、コバノトベラ、ハハジマトベラの4種があります。近年の研究では、シロトベラはリュウキュウトベラに最も近縁の種で、オオミトベラやハハジマトベラの祖先種が到着した後、新しくシロトベラの祖先種が到着したのではないかと推測がされています。
(4月:父島・洲崎道路)
(4月:父島・中央山入り口)



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