NO.29 アツバシロテツ
(別名:アニジマシロテツ)
      Boninia grisea var. crassifolia Nakai.

固有種:ミカン科・シロテツ属)

 アツバシロテツは、父島列島(父島と兄島)に生育する常緑樹です。個体数はやや少なく、絶滅危惧種(EN)に指定されています。

 アツバシロテツの生育地は、兄島では樹高1m前後の風衝地で生育していますが、父島の場合には少し異なります。
風衝地となるわい低木林では、葉が厚いアツバシロテツではなく葉が薄く光沢のあるシロテツの生育地になります。
アツバシロテツは、わい低木林を囲む乾性低木林内の非常に狭い範囲に生育します。

 樹高は、1〜1.5m程。
株状になり、低木ながら古木のかんろくがあります。

葉柄は2〜3cm程。
葉は、大きさ4〜8cm程で、長楕円形。先端はへこむ特徴があります。若い枝などに毛があり、枝の先に葉が集中します。黄緑色〜暗緑色。
葉の質感は、厚みがありかたい。シロテツのような光沢がありません。

 花期は、5月ごろ。
雌雄異株。
花は、シロテツと同じくらいの大きさで、小さな白花を咲かせます。花の数はやや少ないことが多く、あまり目立ちません。
(2004年:父島)
雌花(2004年5月:父島) 雌花と葉(2004年5月:父島)
雄花(雄株の花) 雌花(雌株の花)
 果期は不明。
写真はシロテツの果実が熟し始めた8月の調査のときに撮ったもので、まだ種子をはじいていませんでした。もう少し先の秋ごろではないでしょうか。
8月のときに見た果実は、シロテツ属の中でも小さく感じました。果実は、直径約6mm、高さ約3mm程の大きさでした。
 
 アツバシロテツは、オオバシロテツの変種でオオバシロテツの風衝地型といわれています。確かに茎はオオバシロテツに近い感じがあります。稀に、オオバシロテツと中間的な個体があり、区別に迷うときがあります。
果実(2004年8月:父島)



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