NO.68 ハハジマハナガサノキ
Morinda umbellata L. subsp. boninensis (Ohwi) T.Yamaz. var. hahazimensis T.Yamaz.

固有種:アカネ科・ハナガサノキ属)

(2005年10月:母島・乳房山)
 ハハジマハナガサノキは、母島列島に自生している常緑樹です。
父島列島や聟島列島に自生しているムニンハナガサノキの変種で、絶滅危惧種TB類(EN)に指定されています。
稜線の明るい林内から林縁に生育し、乳房山の遊歩道沿いで多く見られる植物です。

小笠原の植物に多い「変種」。
変種とはどの程度違うものだろう、、、。基本種からちょっと変化した種というところでしょうか。
広義では、大抵基本種に含まれてしまいます。

植物の葉が環境に応じて厚く小葉になったり薄く大きくなったりすることは、ある程度の範囲であることです。
父島のムニンハナガサノキでも、海岸近くの暗い林内にあるものは、ハハジマハナガサノキと同じような葉になることもあります。
葉だけでは植物の区別はできないのです。
実際、母島に行くとほとんどの植物が巨大化していることに驚きます。
父島での植物観察が役に立たないほど、一見して同じ種だとは思えないものも少なくありません。
ハハジマハナガサノキも、長さ7〜10cm。幅3〜5cmと薄くて大きい葉をしています。

ムニンハナガサノキとハハジマハナガサノキの一番の違いは、
花梗(かきょう:花序の柄)と葉柄の長さの違いです。
ムニンハナガサノキの花梗や葉柄は、どちらも約5mmと短く目立ちません。
ハハジマハナガサノキの花梗や葉柄は、どちらも約15〜20mmと長く伸びています。

果期は10〜11月頃。
母島の植物は、父島の植物より花期や果期が早く訪れることが多いです。

果実 頑丈な花梗はいつまでも残る

固有種:木本類の表紙にかえる