ハナソウカ
【別名:ゲットウ、島名:ソウカ】
A.zerumbet var.excelsa Funak.&T.Y.Ito.
(しょうが科)


            ゲットウはこい緑色の細長い葉をもった高さ2〜4メートルにも
            なる大きな植物です。
            ゲットウの葉は、表がつるつるしていて光っています。
            葉をちぎりもんで、匂いをかいでみてください。
            独特のかおりがしませんか。

(2000年6月:母島)

            花は房状になっています。
            房の長さは30センチほどです。花の一つ一つは
            つやつやした白色で、淡いピンク色で縁取られています。
            中には、大きく開いたものもあります。
            左下の写真のように、鮮やかな黄色の筒のようなものが
            突き出ているものもあります。
            その内側はドキッとするほど真っ赤な色をしています。

            和名(日本の名前)ゲットウは、
            漢字の月桃の音読みからきているようです。
            根などに、桃のようないい香りがあるそうです。
            小笠原では、「ソウカ」とも呼ばれています。
            ソウカは、八丈島から来ている方言です。
            ソウという漢字は束ねるという意味があり、カは荷物の荷と書く。
            今でも、ビロウなどを束ねる時には
            二つに裂いて紐の代わりに使います。
         
            ゲットウの父島での分布は、
            三日月山周辺、旭平展望台、長谷、小曲から扇浦、北袋沢、
            この他、山や海岸付近の私有地跡に生育しています。
            よく似たキフゲットウと隣合って一緒に生育していることもあります。
            どこが違うか、ぜひ観察してみてください。

(2000年6月:母島)

           東南アジア〜日本に分布するショウガ科を研究している船越英伸博士は、
         集団サンプリングを行った結果、琉球列島・台湾・フィリピンのゲットウより
         八丈島・小笠原・南大東島の”ゲットウ”は明瞭に花が大きいなどの形質的な
         違いにより、新変種ハナソウカ(A.zerumbet var.excelsa Funak.&T.Y.Ito)と
         命名し発表しています。

         ハナソウカは、南大東島と八丈島と小笠原諸島に分布しています。
         琉球に分布するゲットウに比べ精油含量が多く、沖縄では新たな産業として
         このハナソウカを導入しアロマテラピーなどに利用できる
         製品造りが盛んになっているそうです。

         また、アルピニアの特異な花の生態は、ショウガ科のアジアに分布する
         アルピニア属250種のうち熱帯雨林において9種を観察し、
         フレキシスタイリーと呼ばれる2タイプからなる可動性花柱の
         花の生態を解明しています。


                         【参考文献】
                 熱帯動植物友の会会報 No.112,Jan.2002
                  Nature vol.410 22 March 2001 pp.432



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