NO.54 シマタイミンタチバナ
Myrsine maximowiczii (Koidz.) E.Walker

固有種:ヤブコウジ科・ツルマンリョウ属)

(2008年2月:父島)

 シマタイミンタチバナは、聟島列島から母島列島までに広く分布している小笠原固有の常緑小高木です。
山の稜線や乾性低木林内を好んで生育しています。
シマタイミンタチバナは、本州から東南アジアに自生するタイミンタチバナが類縁にあたり、島での環境に適応した結果、本種とマルバタイミンタチバナに種分化したと考えられています。

高さ1〜5m程。
マルバタイミンタチバナの株の近くにも生育しています。
葉柄は、赤紫色で目立ちます。
鮮明な色があるので、初めに覚えやすい植物です。
葉は3〜7cm程。幅は1〜3cm程。
無毛。主脈は明瞭で、側脈ははっきりしません。

シマタイミンタチバナは、葉の変化が多様な植物です。
左の写真のような葉が典型的ですが、下の写真も同じシマタイミンタチバナです。
葉(父島・東平)
このように小さい葉は、マルバタイミンタチバナとよく間違われやすい個体です。
私自身も間違った経験があります。

ちょっと見ただけでは小さい葉に見えますが、このような個体でも、風の当たりにくい下の方や内側には、長くて大きい葉が混じっています。

それに、マルバタイミンタチバナは限られた地域のごく一角にしかありません。
遊歩道沿いで見られる個体のほとんどがシマタイミンタチバナだといっても過言ではありません。
小葉の葉(父島・旭山)
花期は1月〜2月上旬頃です。
雌雄異株。
父島の遊歩道沿いの株は、偶然にも雌株(雌花が咲く株)ばかりです。

球形の果実は、花期の前後に暗紫色に熟します。
果実はネズミに食べられることが多く、枝についている時点で半分以上に穴が開いています。
花(2005年1月:父島・長崎〜釣浜遊歩道)
雄花(2009年2月:父島・東平) 雌花(2008年1月:父島・長崎〜釣浜遊歩道)
 結実良好なシマタイミンタチバナの木の周囲には、実生や幼樹がすくすくと育っています。

葉柄は成木と同じように赤紫色をしています。
(2008年2月:父島)

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