セイタカオオニシキソウ
Chamaesyce hyssopifolia (L.) Small

(トウダイグサ科)

 セイタカオオニシキソウは、日本では小笠原と琉球に生育する草本です。
父島では、2003〜2005年頃は扇浦や洲崎や車道沿いに見られましたが、2008年には扇浦付近にしか目立たなくなりました。個体数は少ない。

高さ、20〜30cm程。
茎に毛がなく直立すること、葉は大きめで鋸歯があることが特徴です。

ニシキソウ属の花は、風変わりな花をしています。
花は、ひとつの杯状花序の中に数個の雄花と1個の雌花を咲かせます。
雄花は、杯状花序の中にあります。
花びらのように見えるところは、総苞の先にある腺体(※2)についたエプロン状の付属体です。
セイタカオオニシキソウのエプロン状の付属体は、小笠原のニシキソウ属の仲間の中で一番大きく、白〜桃色をしていてひときわ綺麗です。
雌花は総苞から飛び出し、二股に分かれた3個の柱頭があります。さく果が熟す頃には、柄はさらに伸びます。(写真右下)。さく果には毛がありません。

花には、小さな昆虫も集まっています(写真左下)。
(2005年5月:父島、扇浦)
花と昆虫(2008年6月:父島、扇浦) 葉と花と果実
 ※1・・・腺体(せんたい):蜜腺(みつせん)ともいい、アリを呼び寄せ害虫を追い払うために蜜を出します。

  
  【小笠原諸島のニシキソウ属の区別点】

杯状花序は団集花序状に集まり、花序の柄は短い。
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シマニシキソウ・・・茎、葉、さく果に毛がある。茎は斜上する。
A
テリハニシキソウ・・・茎、葉、さく果に毛がない。茎は斜上する。

杯状花序は集散花序状に集まるか、節に単生する。
Bセイタカオオニシキソウ・・・花序の柄は長い。茎、葉、さく果に毛がない。さく果は、成熟すると総苞の外に出る。茎は直立する。
C
ハイニシキソウ・・・さく果は、稜に毛がある。茎は赤紫色。茎は地面を這うように伏せて伸びる。
D
イリオモテニシキソウ・・・さく果全体に毛がある。さく果は、成熟しても総苞の外に出ない。茎は地面を這うように伏せて伸びる。
Eコニシキソウ・・・さく果全体に毛がある。さく果は、成熟すると総苞の外に出る。茎は地面を這うように伏せて伸びる。


                                 【参考文献】
         黒沢 高秀(2000);日本産雑草性ニシキソウ属(トウダイグサ科)植物の分類と分布、
                      Acta Phytotax Geobot. 51(2):203-229


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